タクシー業界の今後

人材不足やドライバーの高齢化等…タクシー業界の抱える課題や、今後予想される未来について見ていきましょう。

タクシー業界に今後影響を与える問題

人材不足

現在、タクシー業界では深刻な人材不足（運転者不足）が課題としてあげられています。法人タクシー事業者は10年間で減少傾向にあり、個人タクシーも同様にドライバーが減少しつつあります。

人材不足の原因の大きな理由の一つは、運転者の高齢化です。高齢となった運転者が次々と退職していく中、新たな若い人材を採用し続けることが出来なければ、人材不足を解消できません。

他にも、訪日観光客の増加により、需要に対するタクシー運転手の人手不足が目立ちやすい状況が作られているのです。

ライドシェア

ライドシェアとは、一般のドライバーが自家用車などを使うことで、有料で乗客を運行するサービスの事です。日本型ライドシェアの特徴は、タクシー会社が運行を管理している点にあります。例えばアメリカではプラットフォーム側が運転手の管理を担いますが、日本ではタクシー会社がドライバーと乗客のマッチングをおこなっていることがほとんどです。

日本型ライドシェアではドライバーと乗客のマッチングをタクシー会社が管理するため、時間やエリアの制限が多く、ドライバー不足の原因の一つとなっています。

政府によるタクシーの需要喚起策

タクシー乗務員は、一般的な低収入・長時間労働の傾向から若年入職者が減少傾向にあります。こうした状況下において、政府はタクシーの需要喚起・利便性の向上に向けて以下のような施策を講じています。

• 初乗り運賃の引き下げ
• 相乗りタクシーの実証実験
• 事前確定運賃の実証実験
• 第二種免許の受験資格の見直し
• 変動迎車料金の実証実験
• 定額タクシーの実証実験

俗にいう「ちょい乗り」需要の喚起や、高齢者などの使い勝手向上に向け、東京都特別区などで初乗り運賃引き下げを開始したほか、マッチングシステムによって複数の利用者が１台のタクシーに相乗りすることが可能になり、利用者からも好評でした。

また、配車アプリを活用することによってタクシー乗車前に運賃を確定させるシステムでは、約７割の乗客が「また利用したい」と回答したとのことです。

他にも、段階的に価格を変動させる迎車料金サービスでは、「迎車料金が安い方が良い」「高くても優先的に配車を受けたい」など、乗客の抱える様々なニーズに応えられるようになっています。

MaaS

MaaSとは「Mobility as a Service」の略称。移動のサービス化とも言われるMaaSでは、主にスマートフォンを利用してタクシーの予約を行います。従来では電話でタクシーを呼ぶ方法や現場で直接探す方法しかありませんでしたが、MaaSを通じて、スマホで事前予約して便利にタクシーを使えるようになりました。

ただしMaaSに未対応のタクシーは利用者の獲得が難しくなるため、各タクシー会社の他サービスとの連携により、MaaSへの適応対策が求められています。

今後のタクシー業界で求められる人物とは？

MaaSは自動運転サービスとも関連があり、CASEの考えのもと今後ネットを通じた配車・自動運転によるサービスが提供されることが予測されます。とはいえ、タクシー乗務員がまったく必要なくなるかとえば、そうではありません。今後タクシー業界で必要とされるのは、以下のような特徴を持つ人物です。

• 介助や子どもへの対応ができる
• 時代の変化に対応できる
• コミュニケーションスキルがある
• 運転技術が高い

例えば介護や介助、子どもの送迎といった目的でタクシーが使われることがあるため、生活や地域に密着し介助スキルなどを持つタクシードライバーのニーズは高まっています。

技術の革新により今後のタクシー業界には大きな変革が生じるでしょう。時代の変化に柔軟に対応できる人なら、タクシー業界で今後も活躍することができるはずです。

自動車の自動運転技術が高まりつつある昨今ですが、まだ自動運転技術には速度制限があることや、狭い道を通ることが困難なため、高い運転技術を持つ熟練ドライバーの需要も高まっています。もちろん運転技術だけではなく、乗客の荷物を載せたり、会話を楽しませたりといったコミュニケーションスキルの高さも求められています。